[2009年2月4日]
寒中お見舞い申し上げます。
これぐらい寒い方が、春を待つ楽しみがあっていいですね。
ちょうど1年のごぶさたをしてしまいました。
世界経済の崩落が続いています。マスコミ報道は不況一色に塗りつぶされています。
ちょうど10年前の1999年もこんな様子だったことを思い出します。
その年、独立して、ケイズワークを創業したのですが、周りからは「なんで、この厳しい時期にそんなムリをするの?」とずいぶん心配されました。でも、どうやら、タイトロープを渡って、10年間、小舟のような会社を続けてきました。
この会社を支えてくださった、多くのお客様やお取引先、友人や仲間、なにより社員に深く感謝しています。
私は、当初、「新規事業支援」を生業の中心に据えようと考えていました。ベンチャー企業の支援にも関わってきましたが、2003年頃から、既存企業の組織文化に関心が移り、インナーコミュニケーションの手法によるコンサルティングや制作業務にシフトしました。そこで改めて感じたのは、企業を長期にわたって導くビジョンの重要性です。
昨年11月の『日経ビジネス』の特集「恐慌突破」に、野中郁次郎先生と伊丹敬之先生の談話が掲載されていました。お二人とも、私が勝手に尊敬している研究者ですが、ともに「経営者はジタバタするな。今こそ腹を括れ」と主張されていました。お二人の論旨は少々異なりますが、共通するところは、この危機を抜け出した「あちら側」から自社のあるべき姿を考え抜け、ということではないかと思います。
「百年に一度の転換期」を経て、恐らく「あちら側」の風景は現在とはかなり様相を変えているはずです。世界のリーダーシップ、主要産業の配置などのドラスティックな変化の中で、個々の企業のポジションも、ステークホルダーとの関係も、さらに言えば、社会的存在意味も変化してしまう可能性があります。
「釈迦に説法」を恐れずに申し上げれば、短期的課題を迅速に解決することなくして明日はありませんが、逆に未来の世界(あちら側)に想像力の起点を置いて、今を照らし出すことも重要だと思います。
そのような未来起点の方法のひとつが、ビジョンの再構築です。
もちろん、未来は本質的には予測できませんが、大切なのは、企業の未来は経営の意志が創り出すものであるということです(これも釈迦に...ですね)。もちろん、それは一企業が恣意的に世界を変えるということではなく、堅固な基軸を据えるということです。
しっかりしたアクシスを据え、そこからぶれることがなければ、世界の変容、環境の変化に対する「風に柳のような」(野中)しなやかな復元力が生まれてきます。
ちなみに、この時期に再構築すべきビジョンは、どこにでもあるような美麗なスローガンではないでしょう。むしろ、その企業のぎりぎりのこだわりや、例え経済的不利をもたらすことがあっても譲らない信条は、ごつごつした不細工なものかもしれません。しかし、そんなビジョンの方が心に残り、愛着が湧くはずです。スマートな時代は間違いなく、もう終わっているのですから。
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★この文章は、ケイズワークのニューズレター「K'S LETTER」に掲載されたものです。
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