社内報のネタ探しは難しい?

1 正攻法は経営トップへのアクセス
社内報のご担当者はけっこうネタ探しに苦労されているようです。

 「ウチの会社は地味だし、記事になるような面白いことなんかないのよね...」
 「社長の言うことはいつも同じだから、社員はみんな聞きあきてるんです...」
 「社内を歩いても目新しいことなんかないし、アイデアも出てこないしさ...」

こんな悩みを抱えて、孤軍奮闘されているご担当者に私は深く同情します。
と同時に「ほんとうにそうなのですか?」と問いかけたくなります。

まず、ご自分の会社とそれを取り巻く環境を見つめてみましょう。
この時期、業種や規模を問わず、変化の荒波に無縁な会社はありません。社内報を出すほどの会社であれば、それらの変化への対応策はそれなりに打っているはずですし、経営層は「打ち手」を実行する現場に伝えたいことをたくさん抱えているはずです。これが「ネタの元」です。

「ネタの元」の総元締はいうまでもなく、経営トップです。
まず、ネタ不足を嘆くご担当者は、社長にしっかりアクセスしてください。もし、あなたが若くて経験が乏しく、社長と対面する勇気がなければ、広報部や経営企画部などの先輩に頼るのも良いでしょう。社長のナマの声をまず聞いてみましょう。きっと社長は自分の考えていることがきちんと社内に伝わらない危機感や焦燥感を持っているはずです。
経営トップにアクセスして、伝えるべき内容の大筋を生身で感じること。これがネタ探しの第一歩です。

2 経営の意志を演出する
トップに会って、きっとあなたは、強いモチベーションを感じるはずです。

 「社長が考えていることの十分の一も社内には伝わっていない!」
 「社長はそこまで考えているのかってみんなきっと驚くはずよ!」
 「言っちゃ悪いけど部長達は社長の危機感を全然理解していない!」

社内報担当者が自分のミッションにはたと目覚めるのはこんな瞬間です。
これが、ネタ探しの旅の、おおいなる第一歩です。

社内報は、トップと現場の間にいる中間管理職をポンと飛び越せるコミュニケーションチャネルです。このダイレクトチャネルの良さを活用して、トップの声をネタにするのが社内報担当者の基本的な仕事です。年頭、期首、新プロジェクトの旗揚げなどの機会を捉えてトップの声を魅力的な「大ネタ」に仕立てなくてはなりません。

しかし、ここで注意すべきことがあります。
トップのメッセージをトップだけに語らせてはまずいのです。
主役だけが舞台を駆けずり回って熱い演技を披露しても、芝居全体はちっとも盛り上がりません。主役を中心とする登場人物たちが緊密な関係を創り出しながら、ひとつのゴールへ向けて舞台を盛り上げていかなければ、観客を感動させることはできません。

「社内報のネタ探し」のコツのひとつはここにあります。
トップのメッセージ、すなわち経営の意志を中心に置き、それを効果的なコンテンツ(記事)に落とし込めるようなネタを「発掘」するのです。ぱらぱら落ちているネタを拾って、くっつけ合わせてもダメ。そんなことをするからネタ不足に陥るのです。

3 ネタの温床をせっせとつくる
えーっ、どうすればいいの?! という声が聞こえてきます。
まず、試しにトップのメッセージに含まれている要素を取り出してみてください。
期首のメッセージであれば、当然ながら今期の目標に触れているでしょう。数字を裏付ける事業の目論見や市場動向の読みなどもあるはずです。既存事業をどのように維持・拡大するのか、新規事業をどのようにスタートするのか。あるいは大胆な構造改革に踏み出すのかもしれません。事業計画はコンプライアンス、IT、人材開発などに触れているのではないですか? いずれも企業の競争力にとって不可欠のテーマです。

これらはすべて、トップが発した経営メッセージの欠くべからざる「基幹部品」です。
基幹部品であればこそ、そこには担当部門や担当者が配置されており、それぞれの現場で取り組みが始まっているはずです。

ここがネタの温床です。社内報担当者なら、これらの部門のキーマンとしっかりしたコネクションを作っておかなければなりません。特にあなたが属するバックオフィス系部門からは遠い営業や生産関係の部門(特に地方拠点)には、あなたに「良い情報」を提供してくれるファンをつくっておきましょう。
ネタは情報です。その情報は言うまでもなく「人」に付いていることをお忘れなく。

4 問題提起を仕掛ける
しかし、待っているだけでは、集まるネタの量や質は知れたものです。
待つだけでなく、社内報担当者は前向きに仕掛けていかなくてはならないのです。

雑誌や新聞の記事をつくるには、大雑把に言えば二通りの方法のがあります。

ひとつは「事実報告型」です。
情報を収集・整理し、読みやすいように5W1Hなどを使って記事を作成します。もちろん、必要に応じて書き手のコメントを付し、レポートにメッセージを込めることが可能です。社内報では、製品やプロジェクトなどの社内トピックが「事実報告型」の典型です。

もうひとつは「問題提起型」です。
「当社の顧客満足度を総点検する!」という特集は、CS向上にはたして努力が払われているのかという問題提起を含んでいます。社員の気づきを促そうという明確な意図に基づいてメッセージをしっかり織り込むと同時に、それを支えるに足るネタを積極的・計画的に収集していきます。いわば、確信犯的なネタ集めです。経営のメッセージを浸透させるには、年に何回か、このようなやり方でネタを収集・発信していくべきでしょう。

「問題提起型」の記事をつくるには、経営の様々な目標と自社の現実との間にギャップを認識する「目」が求められます。そのギャップの中で優先順位をつけ、社内報で扱うにふさわしいテーマを拾い出し、周到な準備の上で社内にぶつけるのです。もちろん、この手の社内キャンペーンにはトップの応援が不可欠です。あなたが社内コミュニケーションの演出家として腕をふるうには、どうしても彼や彼女を味方につけなければなりません。

ケイズワーク 菊地史彦

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